
こんにちは!
薬剤師歴10年超のコグレハルコです。
在宅をやっている薬局は、年収が高い。
そう思っていませんか。私はずっと、そう思っていました。
でも2026年8月に求人を数えてみたら、ふつうの調剤薬局の正社員と、ほとんど変わりませんでした。
それなのに、上限だけは770万円や780万円が並んでいる。
なぜこんなに幅が広いのか。
今回の記事では、その内訳を検証してみました。
今現在掲載されている想定年収704万円の求人、どんな仕事なの!
先に結論
・在宅専門×正社員130件の年収は下限の中央値480万円・上限の中央値600万円。ふつうの調剤薬局の正社員(500万円/610万円)とほぼ同じ
・ただし上限は770〜780万円が並ぶ。入り口400万台、経験を積むと700万台=レンジが極端に広い
・その上限クラス(想定年収704万円)の内訳を見たら、現金の基本部分は約492万円
・残りは固定残業140万円(38時間ぶんの残業が含まれている)と住宅手当72万円(条件付き)
・幅が広い理由は、在宅が難しくてできる人が限られるから。求人は7,385件あるのに、人が足りない
・★運転できなくても高年収はありました。東京23区に “ 運転手付きの在宅専門 ” で年収最大780万円の求人(2026年9月時点)
目次
都内の高年収求人は、在宅専門ばかりでした
そもそも、なぜ私が「在宅は年収が高い」と思っていたか。
求人票を見ていて、都内で年収が目立って高いものを開くと、たいてい在宅専門だったからです。
そして転職の相談をしたとき、担当コンサルタントの方にこう言われました。
「在宅は、年配の薬剤師さんだと嫌がる方もいるので、年収が高くなりやすいです」
なるほど!!!
やりたがる人が少ない仕事は、高くなる。
それはそうか、と納得したのを覚えています。
在宅とラウンダーは高いと聞きました。
ラウンダー薬剤師の年収は高い?下限は550万円でした【2026年】
数えても、「在宅だから高い」は見えませんでした
結果です。
| 求人の種類 | 下限の中央値 | 上限の中央値 | 下限が600万以上 |
|---|---|---|---|
| ラウンダー職(363件) | 550万円 | 650万円 | 33.9% |
| ふつうの調剤薬局×正社員(360件) | 500万円 | 610万円 | 2.8% |
| 在宅専門×正社員(130件) | 480万円 | 600万円 | 3.8% |
ふつうの正社員と、ほぼ同じです。
下限が20万円、上限が10万円の違い。「在宅だから高い」という上乗せは、数字に出てきませんでした。
ちなみに下限が600万円以上の割合は、在宅専門のほうがわずかに多いです(3.8%と2.8%)。
え、同じなの? 高いって聞いてたんだけど。
在宅専門でも、年収にはあまり差がなかったね。
先に、この数字の注意点も書いておきます。
- 大手1社の公開求人のみ。非公開求人は含まれていません
- 比較対象の「調剤薬局×正社員」は27,628件のうち新着順360件のサンプルで、全数ではありません
- 2026年8月=閑散期の数字です
- 地域の偏りは潰していません。在宅専門の薬局は地方に多いかもしれず、そうだとすると年収の水準にも影響します
聞いていた相場と、実際に数えた数字が違う。これは派遣の時給でも同じでした。
同じなのに、上限だけ770〜780万円が並びます
ところが、個別の求人を見ると話が変わります。
東京の在宅専門の求人を並べると、こうでした。
足立 470〜780万円
港 420〜780万円
墨田 470〜780万円
調布・練馬・東久留米・荒川 400〜770万円
町田 600〜700万円(在宅経験者様限定)
下限は400万台。上限は770万台。
ラウンダーと比べると、性質がまったく違います。
| 職種 | 年収の出方 |
|---|---|
| ラウンダー | 下限そのものが高い(入った時点で保証される) |
| 在宅専門 | 入り口は400万台、経験を積むと700万台。幅が広い |
だから「在宅の年収は○万円です」という言い方が成立しません。
では、なぜこんなに幅が広いのか。
在宅は、わからないことも多い
在宅といっても、軽いものなら多くの薬剤師がやっていると思います。
しかし私が最近まで行っていた患者さんは、麻薬や点滴の処方がありました。
抗がん剤、麻薬、注射薬の処方はわからなすぎる。
今は新規の薬は特に入荷しにくいので、代替薬を病院と相談する場面も。
そのとき、自分に知識がないなと実感しました。
薬剤師歴長くても、やってないから知識ついてなかったわ。涙
スキルがつくかつかないか、環境によるところもあるよね。
自信を持って在宅医療に関わるのは、今までの経験の有無もあって、限られた人になる。
そして、これがさっきの問いの答えでした。
在宅は難しい
↓
自信を持ってできる人が限られる
↓
入り口は400万台、できる人は700万台 = 幅が広い
冒頭で担当の方に言われた「年配の薬剤師さんだと嫌がる方もいる」も、同じことを別の側から言っていました。
「嫌がられる」と「難しい」は、同じ話だったのです。
シンプルに患者さんの家に行くのが嫌なのかと思ってた〜。
それもあるかもしれないけど、難しくて敬遠されてるってことだったんだね。
「在宅ができる」と「在宅を任せられる」は、別でした
もうひとつ数字を見ると。
在宅あり×正社員の求人は7,385件ありました。
調剤薬局×正社員が34,138件なので、2割以上です。
つまり、在宅をやっている薬局はもう珍しくありません。
そこで働いた経験のある薬剤師も、それなりの数いるはずです。
だから「在宅の経験があります」だけでは、差がつきません。
年収がふつうの正社員と変わらなかったのは、たぶんここだと思っています。
差がつくのは、その先です。
麻薬の処方も、点滴も、代替薬の相談も、一人で判断できる人。
さっき私が「知識がないな」と思った場面を、難なくこなせる人です。
そこまでいける人は、少ない。
だから上限だけが、700万台に伸びます。
「できる」と「任せられる」は、全然違うよね。
その上限クラスの1件、月給の内訳を見ました
では、上限に近い求人の中身はどうなっているのか。
東京の在宅専門薬局で、想定年収704万円という求人がありました。薬剤師歴3年の想定です。
月給527,000円の内訳が、そのまま書かれていました。
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 基本給 | 260,000円 |
| 能力手当 | 20,000円 |
| 資格手当 | 80,000円 |
| 広域手当 | 50,000円 |
| 固定残業代(38時間分) | 117,000円 |
| + 住宅手当 | 60,000円 |
合計すると、月587,000円。年俸7,044,000円です。
薬剤師3年で、700万円越え!
704万円を、2段に分けます
この704万円には、内訳があります。
想定年収 704万円
− 固定残業代 140万円 月38時間ぶんが含まれている
決まった時間だけ働いた額 564万円
− 住宅手当 72万円 住めばもらえるが、条件付き
現金の基本部分 492万円
※広域手当60万円は、この492万円の中に入っています
3つの数字が出ました。それぞれ数字の意味が違います。
| 金額 | 数字が意味するもの |
|---|---|
| 704万円 | 毎日2時間残業して、その家に住み続けたときの満額 |
| 564万円 | 決まった時間だけ働いたら、実際いくらなのか |
| 492万円 | 住宅手当がない会社と比べるときの基準 |
そして492万円を、さっきの表と見比べてください。
ふつうの調剤薬局の正社員が500万円でした。
ほぼ同じです。
中央値で見ても同じ。上限クラスの1件の内訳を見ても同じ。
二回とも、同じ額に着きました。
固定残業38時間って、毎日2時間‥‥。
私は定時過ぎたら、残業代欲しいと思っちゃうからな〜。
固定残業38時間の意味
月38時間分が、あらかじめ給料に入っています。
働かなくてももらえます。
ただ、38時間働く前提で設計されている金額です。
そして38時間まで働いても、金額は変わりません。
38時間を超えた分は、別に残業代が出ます。
毎日2時間。 それを織り込んだうえでの704万円でした。
新卒のときの私は、この仕組みを知りませんでした。その話は別の記事に書いています。
新卒のとき、固定残業代を知りませんでした|薬剤師の求人票の見方
住宅手当72万円のメリットとデメリット
もちろん住宅手当と、固定残業代は性質が違います。
固定残業代は、38時間ぶんの残業が織り込まれた金額。
住宅手当は、住むだけ。
追加で働く必要はありません。
家賃は、手当がなければ自分の給料から払うものです。
それが消えるので、プラスの性質が強いです。
メリット
・家賃が浮く。手取りが増えるのと同じ
・この求人なら月6万円。年間で72万円ぶん
デメリット
・条件が付く(住み続けることが前提/住む場所の指定)
・辞めたら消える。引っ越したら変わることもある
・住宅手当がない会社と、年収を単純に比べられなくなる
実際の年収で見ると安いかもしれないけれど、住宅がかからないのは大きいと思いました。
実際の面接で聞いた方が良いことは、いくらまで出るのか・どんな条件か・いつまで出るのかの3つです。
家買ったら、年収減る可能性もあるもんね。
広域手当は、「動けること」の対価でした
この求人、条件のところにこう書いてありました。
- 採用後に神奈川・東京・千葉・埼玉の全8店舗から配属先が決まる
- オンコール月1〜2回
- 車必須(社用車かマイカーかは不明)
- 経験3年以上
この求人が高いのは、在宅だからではありませんでした。
「動けること」と「拘束」への対価でした。
さっきの492万円の中に、広域手当60万円が入っています。
これは在宅の手当ではなくて、4都県のどこに配属されても行けます、という手当です。
そして、ここで冒頭がひっくり返ります
私が「在宅は高い」と思ったきっかけは、都内の高年収求人が在宅専門ばかりだったことでした。
つまり在宅は、私にとって都内で年収を上げる「入り口」に見えていたんです。
ところが条件を読むと、車必須。都内を運転して回る仕事でした。
正直、都内を運転して回るのはこわい。
この求人は、私には入れない入り口でした。
私が受けられるかを、正直に並べます。
| 条件 | 私の答え |
|---|---|
| 固定残業38時間 | 固定残業代が出ても帰りたくなってしまうので、避けたい |
| オンコール月1〜2回 | 時と場合による |
| 車必須(運転する) | 都内を運転して回るのは、正直こわい |
| 4都県8店舗から配属 | 在宅はわからないことばかりなので、知らない土地に馴染みながら働くのは不安 |
運転できなくても、780万円の求人がありました
ここで記事を終わらせるつもりでした。
でも、ひとつ気になって調べました。
運転手付きの在宅って、ないの?
ありました。
運転手付きの在宅専門薬局(2026年9月時点)
足立区/竹ノ塚駅 年収最大780万円
葛飾区/京成高砂駅 年収780万円も可能
江戸川区/瑞江駅 年収780万円も可能
江東区/清澄白河駅・森下駅 年収780万円も可能
墨田区/曳舟駅・押上駅 年収780万円も可能
さっき「東京の在宅専門」で並べた足立の470〜780万円と、墨田の470〜780万円の求人。
——都内の在宅で上限780万円が並んでいたのは、運転手付きの求人だったのです。
運転できないから無理、じゃなかった。
運転手付きだと、在宅のハードルが少し下がるね。
※この5件は文言がほとんど同じなので、1社が5店舗で募集しているのだと思います。「5社ある」という話ではありません。
他にもありました
北区/王子駅 最大700万円 在宅専任ドライバーがいる為運転できなくてもOK
港区/溜池山王駅 最大680万円 専任ドライバー常駐(管理薬剤師候補)
新宿エリア 最大600万円 在宅専門ラウンダー/車運転なしでも相談可能
「運転なし」「運転免許不要」で検索すると、こういう求人がまとまって出てきます。
私が見た704万円の求人は、「自分で運転する側」でした。
でも都内には「運転しない側」の求人もあって、そちらのほうが上限は高かったんです。
※704万円は「薬剤師歴3年の想定」、780万円は「最大」なので、同じ土俵の比較ではありません。そこは差し引いて見てください。
それでも、はっきり言えることが1つあります。
在宅の高年収に、運転は必須ではありませんでした。
「運転できないから在宅はナシ」で諦めなくていいんだ。
ただ、地方だと難しいかもしれません
ここまで出てきた高年収の求人、全部都内でした。
私がフリーランスで働いている薬局の経営者に聞いたら、こう言われました。
「在宅で稼げるのは、都会に限るんじゃないかな」
地方は、都会に比べて患者さんの数が少ない。
そしてアクセスも悪いので、効率よく回るのが難しいからです。
言われてみれば、そうだよね。
地方で「在宅メインの高年収求人」を見つけるのは、難しいと思います。
ただ、それでも手はあると思いました。
面接で、在宅に前向きな姿勢を見せることです。
できる範囲でも、やる気があると伝わるだけで、条件の話は変わることがあります。
私が経営者だったら、大変な仕事にやる気を見せてくれる人に、お給料多く払いたいと思うので。
求人票の年収から実際の対価を知る、4つの手順
在宅にかぎらず、どの求人でも同じように見られます。
① 想定年収ではなく、月給の内訳を見る
② 固定残業代が何時間分かを確かめる(書いていなければ聞く)
③ 住宅手当など条件が付く手当は、条件を確かめる
④ 残った額が、他社と比べるときの基準
この4つ、面接前に一回やっておくと落ち着きます。
内訳は、聞けば出てきます
今回の求人は内訳まで書いてありましたが、書いていない求人のほうが多いです。
でも、聞けば教えてくれます。
この記事の冒頭に書いた「年配の薬剤師さんだと嫌がる方もいる」という話も、聞いたから分かったことでした。
自分で聞きにくいなら、担当者に聞いてもらう手があります。
半年以内に転職したい気持ちがあるなら、見ておく価値のあるところを2つ挙げます。
逆に、いまは情報収集だけという方は、登録しないほうがいいです。
担当者の熱量が高いと、連絡を取るのがめんどくさくなってしまうので。
ファルマスタッフ
この記事の年収の分布を数えたのは、ここの公開求人です。130件と360件を全部読みました。運転手付きの求人も、ここで見つけました。正社員・派遣・パートを全部扱っているので、条件を比べたいときに向いています。
求人を見てみる →そもそも薬剤師の年収そのものをどう見るかは、別の記事に書いています。
まとめ
- 在宅専門×正社員130件の年収は、下限480万円・上限600万円。ふつうの正社員(500万円/610万円)とほぼ同じ
- ただし上限は770〜780万円。入り口400万台、経験を積むと700万台
- 幅が広いのは、在宅が難しくてできる人が限られるから。求人は7,385件あるのに人が足りない
- 想定年収704万円の求人は、704万円/564万円/492万円の3つに分かれる
- 固定残業140万円は38時間ぶんの残業が含まれている。住宅手当72万円は条件付きだが、家賃が消える分
- この求人の広域手当60万円は在宅の手当ではなく、“ 動けること ” の対価
- ★在宅の高年収に、運転は必須ではなかった。東京23区に運転手付きで年収最大780万円の求人がある
- ただし高年収の求人は都内に集まっている。地方は患者数とアクセスの問題で効率が落ちる
- 求人票の年収は足し算の結果。何を足したかを見る
実際の年収で見ると安いかもしれないけれど、住宅がかからないのは大きいと思いました。
ただ、自信を持って在宅医療に関わるのは、今までの経験の有無などもあり、限られた人になるのかなと思います。
外来業務よりも患者さんと密に接するぶん、やりがいは感じやすいと思います。
年収の数字だけでは、決められない仕事だなと思いました。
この記事の数字について
- 年収の分布は2026年8月15日に、大手1社の公開求人を数えたものです。非公開求人は含まれていません
- 数えたのは「在宅専門×正社員」130件と、比較対象の「調剤薬局×正社員」360件(27,628件のうち新着順のサンプル)です
- 「在宅あり」タグの求人は、年収の比較から外しました。ふつうの調剤薬局と重複していて、比べても意味がないためです
- 地域の偏りは潰していません(在宅専門は地方に多い可能性があります)
- 2026年8月=閑散期の数字です
- 想定年収704万円の求人は、2026年8月15日時点の掲載内容です
- 運転手付きの求人は2026年9月に調べました。フリーワード検索で「運転手」5件/「ドライバー」14件/「運転なし」11件/「運転免許不要」10件(重複あり)
- 来年の8月にもう一度数えて、この記事を更新します